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オーディオマニア、ビジュアルマニアの欲望は限り無いものです。私も人のことはとやかく言えません。

店で運用しているビジュアルシステムはアンプロのHD-4600+ファロージャ401です。仕事柄いろんな機械を見ていますが現時点では最高でしょう。これ以上良いものはありません。アンプロは昨年5月に会社が立ち行かなくなりしばらく製造されていませんでしたが、本年5月から製造が再開され従来通りエレクトリの手で輸入されています。当店でも新規に注文を受けたので11月頃に8インチ機HD-3600を納入する予定です。納入先は倉敷のエンスージャストであります。さて映像システムに組み合わせているスピーカは古い英ヴァイタボックスのCN-191ですが、今井商事にはまだ最後の在庫が残っているかもしれません。ただしこのスピーカは私にとって暫定的なものです。映像系のスピーカは純HiFi用のものとは異なり、別の意味で難しいものです。


写真でお見せしているシステムはそれとは全然違うものでこれこそ今後あるべき個人シアターシステムと言うべきものでしょう。音も大変にチャーミングです。スピーカは英ジョーダンワッツ社のフラゴンでモニタは泣く子も黙るアップルの大型液晶機、シネマディスプレーであります。ただしこれはMacのG4専用モニタで、この組み合わせではDVDの画面しか見ることができません。でもそれで良いのではありませんか。G4内蔵のATI 社グラフィックカードの性能はファロージャと比べるわけには参りませんがまずまず納得できる画質であります。普通はこれ以上何が必要でしょうか。これに相応しいアンプは47研究所の2706CあたりでしょうしCDプレーアも同じく47研の2713になりましょう。フラゴンは1974年に発売されましたがアスティカ遺跡の出土品を参考にしてデザインされたようです。ジョーダンワッツからはその後アラビア紋様のタイルを貼ったキュビックスタイルのアラベスクが出ております。これも実に魅力的でアップルの最新機G4キューブと並べると最高でしょう。

先ほどの話しに戻りますがアラベスクは音はよくありません。フラゴンのほうが圧倒的にクリアで良い音でした。20年以上前のこと、ボザークの大型スピーカの上にフラゴンを載せて鳴らしていたところ、お客さまが異口同音に「今日のボザークはいい音がする」と仰ったのには参りました。それはほんとうのことで私も同感でしたから。ジョーダンワッツのモデュールユニットを早くから認めた方が評論家の故瀬川冬樹氏であります。当時瀬川氏はモデュールユニットをおさめた小型システム;ジャンボ;を3ウエイのスコー カとして使用されておられました。当時のジャンボは素敵なデザインでその後のものとは全然異なります。そう言えば47研の木村さんは本職のプロダクトデザイナーで瀬川冬樹さんの仕事仲間でした。パイオニア時代の代表作にあのMU-41があります。47研の製品は、国内で唯一といってよいほど音楽ファンにとって真に優れたオーディオ機器であります。眼を海外に広げればたとえばLINNのClassik-Tなどもそういう機械でありましょう。

 



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わたくしが最初にそろえた本格的HiFi装置はスタツクスのコンデンサーイアスピーカSR-1<ヘッドホンのことです>とスタックスのトーンアームUA-3、それにカートリッジはグレースのF-8Lでした。浪人した年でしたが親の目を盗んでアンプは専用機を球でつくったのです。写真が出ればお見せしますがUA-3は極めて魅力がありました。音はともかくデザイン的には今でも世界最高でしょう。パラGユニットを使用した2点支持の軸受けで初動感度は今でも頂点に位置しています。設計者は中村俊一さんでした。どんな方なのか全然存じません。もし御存じの方がおられましたらメールで御一報ください。 

UA-3は35cmアームなのですが40cmタイプのUA-7も魅力がありました。これはお亡くなりになった高城重躬さんがお使いになられていました。あのテレフンケン77極モータは私もずいぶん捜したのですがみつかりませんでした。    もうずいぶん昔のことです。

25年前に信濃特機の24極アウターロータモーターを買って何年か使っていましたが私が買ってしばらくしたころに当時 はオーディオメーカだった名古屋の今をときめく;あのメルコ;がこれを使った糸ドライブターンテーブルを発売しました。牧 誠さんは確か早稲田の御出身で1970年代はじめにはラジオ技術誌に製作記事をいくつかお書きになられていましたしメルコを設立された1976年頃には東京光音電波のデテントボリウムを使用したプリアンプを作られていました。オーディオマエストロ開店直後に一台販売しましたがそのお客さまはまだお持ちになられているそうです。 いずれ「お宝鑑定団」にでるそうです。?


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少し脱線しましたね。アナログプレーヤには私もまだ多大な関心あリます。ここ12年、店内からはしばらくアナログプレーヤが姿を消していました。2年前でしょうか、JRDのジェフローランドさんがお見えになった時ある理由で必要になって、たまたま転がっていたヤマハの2000GTをばらしてジェフ製品そっくりのプレーアをでっち上げたのです。幸いジェフさんは冗談を理解する人で、笑ってJRD風プレーアを許してくれましたし輸入元のU専務も苦笑して黙許しました。

これはまだ店内にあります。私はいま出回っているプレーヤで欲しいものは全然ありません。作りたいのですがネックはドライブモータなのです。ターンテーブルや軸受け、サスペンション、フレーム等はいかようにも岡山で作れます。でもモータは難しいですね。12年前まで使っていたプレーヤはバーサダイナミクスの2.0でした。これは西宮のファンガティの山崎さんにお願いして輸入してもらったものです。これのモータは240極相当のステッピングモーターでした。いまターンテーブルを作るとなるとやはりそうなるのでしょうかしら。今どき非サーボのヒステリシス多極シンクロナスモータがあるとは思えませんし。もし御存じの方は教えて下さい。

過去に好きなプレーアはいくつかありました。私の好みは陽炎のようにはかなく繊細なものです。透明なフレームが好きです。厚いアクリルは音もよろしい。一時期にビクターの局用自動制御リムドライブターンテーブルと仏シネコを並べて使っていました。蛇足ながらビクター業務機はアイドラーの軸受けにボールベアリングが入っていてデンオンのRP-52〜53よりも遥かに良い機械でした。ただしベアリングが曲者で当時国産品は全然モノにならずSKFの片シールタイプを取り寄せて使ったものです。英トランスクリプタも大好きでしたがとうとう入手できませんでした。最近みたデュプレ映画でバレンボイムと別れるころの彼女が使っている装置がQUADの33プリとトランスクリプタでしたね。アームの先端のカートリッジは時代がずれているようでしたが。いずれにせよ時代考証は難しいもののようです。


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どうも年をとると昔話が好きになるようですね。でも先人は良いことを言っているではありませんか。「温故知新」はいつの世も真実です。新しいことには過去に必ずその類型があります。今は管球タイプのフォノイコライザの開発に熱中しています。完成するのは1年後でしょう。あるいは2年かかるかもしれません。最近はパワーアンプを作るのには少し飽きてきました。球も代り映えしませんしね。創作意欲を掻き立てる球がないと良いパワーアンプは作れませんから。あっても数が限られていますし、平田も無くなりますし、難しい状況です。いまは危機的状況と言っても過言ではありません。平田が無くなると製作記事の減少に直結します。それはもはや必然でしょう。あそこのお陰で設計者の皆さんがどれほど恩恵を被ったか計り知れません。タムラとタンゴは車の両輪としていままで管球アンプを支えてきた歴史があります。製作記事の減少は読者の減少、雑誌の発行部数減につながります。12年ほど昔にラジオ技術誌に;真空管がある日突然無くなる日がくるかも知れない。そうなっても趣味として続けるだけの準備をする必要がある;と言った主旨のことを書いた記憶があります。その予想は良い方向で外れたわけですが意外な伏兵が「トランスメーカ」の廃業でしょう。今の管球オーディオブームが如何にその基盤が薄く実体と異なるかは販売店を経営していると痛感するのです。10年後振り返った時2000年の夏、秋が真空管オーディオの分水嶺だったと思うことがあるかもしれません。ナントカの予言は極めて局地的な領域で適中したのかも知れませんね。でもこれはオーディオ全体に共通していることかも知れません。今以上に裾野を広げる努力をするか、質を高めて間口を狭めるか、関係者は究極の選択を迫られるでしょう。そのキーポイントはこのインターネットかも知れません。海外から直接オーディオ機器を買うことが当たり前になる日はすぐそこにきているかも知れません。高級機ほどそうでしょう。私を含めて流通業者は当然無縁な話ではありません。問題はアフターサービスですがそうなればその専門業者が出てくるでしょう。その徴候はすでにあります。

  ごく最近の話として如何なる形態かはまだ分かりませんが;タンゴが存続する;とのことです。少なくとも技術と製品は残るでしょう。とても嬉しいニュースです。


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ごく最近にテクトロニクスのアナログタイプの究極のスペアナ7L5がアメリカから到着しました。10ヶ月早ければもっと良かったのですが。使い方はまだ良く分かりません。辞書を見ながら格闘しています。1MΩ入力が可能なスペアナでオーディオアンプに適するものはこれしかないでしょう。つまり管球アンプを増幅段ごとに正しく分析するには7L5がいるわけです。いま現行のデジタル測定機器では究極のアナログ回路は設計できません。何百万円もする最新のテクトロのデジタルオシロでも7A22や7A13 と組み合わせたR7000シリーズには全然歯が立たないのです。まあ7000シリーズに究極のプラグイン7A22や7L5を装着した時のかつての値段を考えたら今の最高と称する機械が歯がたたないのは当たり前かも知れません。いずれにせよ最高のアナログアンプを作るには今の測定器は役に立たないのですが、いま現在アナログプレーヤやカートリッジを作る場合も同様でしょう。かつての究極のテストレコードCBS-STR120が製造中止になって四半世紀がすぎました。その後国産レコードメーカも似たようなものを作っていましたがいまはどうなっているのでしょうか。まだあるのかも知れませんがもし無かった場合は何十万円もする価格のカートリッジは一体どうやってその性能を確認しているのでしょうかしら。売っている私も恐くて聞けません。テストレコード以外にもいくつか方法はありますがレコードの溝は弾性変形<しばしば塑性変形>を伴っていますし簡単にできる技とは思えないのです。わたくしはイコライザを作る前に出来れば駆動モータを含めたターンテーブルとそのフレームとサスペンションを作りたいのです。何のためにプレーヤを作るのと問われれば管球フォノイコライザを作るためと答えます。もともと私がオーデイオに興味をもったきっかけもプレーアでしたし、単にターンテーブルの駆動法を変えただけで音が変わること、もう驚くべきレベルであります。このあたりを押さえないと何のための管球イコライザか分かりません。


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プレーヤに接続したワウフラッタメータのワウ波形出力をストレージオシロスコープで眺めてみると駆動方法で様々異なることが分かるでしょう。いま主流のベルトドライブ機は本質的に波長が長く曖昧な波形変動が特徴です。蛇足ながら以前から行われている変動レベルの実効値測定はワウフラッタ波形に関する限りおかしなものでここは必ずPーP測定にしなくてはなりませんし波形の評価判定でもそうあるべきです。LINNがかつて批判したDDのプレーヤのワウ波形は絶対値こそサーボのお陰で極めて少ないのですがその波形は見るもおぞましいギクギクと汚いものです。ちょうど高帰還型超低歪みアンプの残留歪波形と似ています。個人的にはリムドライブ機の波形が好きであの寺垣さんがリムドライブを選択したのは良く分かります。これはアイドラー一回転ごとの波形変動はありますがそれはその瞬時だけで後は比較的に平坦なのです。ただしこれはよく設計されたものだけで例外も多々あります。EMTなどはもともと大変優秀なのですが今ではほとんどが整備不良といって差しつかえありません。よく設計され良く整備されたリムドライブターンテーブルのワウフラッタ波形はちょうど方形波や台形波に似ていてその波長はアイドラーが大きくなると長くなります。駆動モータの回転数とアイドラーの直径との関係はクリティカルでここがキーポイントでしょう。アイドラーとモータ軸の位置関係も極めて重要でいわゆる「逃げ勝手」の関係であることが大事でしょう。「食い込み勝手」の関係だといくら努力してもダメです。先人の知恵は大事なのです。 


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リムドライブ機はすこぶる音は良いのですがSNが問題で本当に良いものはありません。そこでベルトとの併用が考えられます。モーターの振動をベルトで吸収するわけですが、この方式ではトーレンスが有名ですね。2重ターンテーブルでクイックストップ、スタートが可能です。お持ちの方も多いでしょう。これをすっかり真似たものを40年ほど前にニートが作っていました。そういえばトリオもベルト、アイドラ併用型をつくっていましたね。/ ガラードとトーレンスは一括りに同類項に分類されることが多いものですがなぜかその音は全く異なります。ガラードの特に初期の301は極めて明解で押し出しが強くかつ上品なものであります。かつてソニーが直流サーボモータを使用したまことに良いデザインのターンテーブルを売っていたことがありました。もう33年前のことです。故瀬川冬樹氏はそれまで使用していたガラード301からそのソニーのターンテーブル<たしかTTS-3000>に変えた際に;そのあまりにみすぼらしく変化した音に愕然とした;と書かれていました。かつてのステレオ芸術誌で、ある音楽家がTTS-3000のワウを指摘してメーカが慌てた経緯が出ていましたがベルトドライブ機は本質的な欠点があります。SN比と引き換えに長い周期の周波数変動つまりワウが必ず付きまとうものなのです。ターンテーブルを重くするとそれがさらに長くなるだけで本質的な解決にはなりにくいのです。アンチDD派の某メーカのプレーヤも構造的にワウが発生しやすいものです。扇風機やエアコンからの横風を受けるとひとたまりもありません。その点でたとえばトーレンスのリファレンスは大したものでベルトドライブ機で唯一の揺るぎなき安定性をもっているでしょう。特に初期のものがよろしい。プレステージとは全く似て非なるものであります。その理由はサスペンションがリーフ型と言うことに尽きます。駆動モータもなぜか良くないはずの直流サーボモータですがなにか理由がありそうです。   つづく

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